作　くすり・きくぞう
絵　かわい・えがお

○ 〝悪人夫婦〟(？)の会話

妻「あー！　割っちゃったー。ごめんなさい、大切な茶碗だよね？」
夫「うん。でも片付けなかった僕が悪いんだよ」
妻「違うよ！　無理してたくさん運ぼうとした私が悪いのよ」
夫「いやいや、僕が悪い。食事の後片付けぐらい僕がすれば良かったんだ！」
妻「ううん。お仕事で疲れているんだから！　でも、この茶碗、高かったんでしょ？」
夫「うん、でもいいんだよ！　今度は２つ買えるように、仕事頑張るからさ！」
妻「それいいわ！　夫婦(めおと)茶碗ね！」

○ 〝善人夫婦〟(？)の会話

妻「あー！　割れちゃったー！」
夫「バカ！　『割れちゃった』じゃないだろ、お前が割ったんだろ。大切な茶碗なのに。なんでもっと慎重に扱(あつか)わないんだよ！」
妻「だって、手が滑ったんだから仕方ないでしょ。そんなに言うなら、あんたが片付ければ良かったのよ！」
夫「後片付けは妻の仕事だろ！　俺は会社で働いているんだ！」
妻「私だって働いているじゃないの！　あんたって最低ね！」
夫「最低だと！　だったら出ていけ！」
妻「あんたが出ていけばいいでしょ！」

〝悪人夫婦〟は自分が悪いと言える人。〝善人夫婦〟は自分は悪くない、正しいと主張する人。その差は、茶碗を〝割る者〟（わるもの）をどう見るかにありそうです。