宗教法人「生長の家創始者谷口雅春先生を学ぶ会」
副代表　前原幸博

「試合中の彼とは非常に話をしやすい。絶対に怒ったりしないし、集中力を切らすこともない。切り替えもしっかりできている」（マドン監督）

「打った？」と言えば、ワクチンか大谷選手のホームランか……。
日常会話にそこまで言われる今日の大谷フィーバー。成績もさることながら、多くのファンを魅了してやまないのがその人間性。
大谷投手が打者を打ち取った際、バットが折れてその破片が大谷投手の所に……。彼はすぐさまそれを拾い上げ、笑顔で打者に返した。
「ああいうことをするのは大リーグでショーヘイだけ。彼は礼儀正しく、謙遜で素晴らしい」

また、グラウンドにゴミが落ちていれば、それを拾ってポケットに入れるというのも大リーガーでは彼だけ。マスコミから「なぜゴミを拾うのか？」と聞かれたとき、彼はこう答えた。

「ゴミは人が落した運。ゴミを拾うことで運を拾う。それが自分にツキを呼ぶ、と高校の恩師から教えられたから」

この恩師から伝えられたのが「目標達成シート」。これは、中心に自らの目標を立て、周囲９×９の合計81のマスに、それぞれ細分化した目標を書き込んでいくというもの。で、大谷選手は中心に何を書いたか……。

〝８球団からのドラフト１位指名〟。

それを実現するために何が必要か。彼が書き込んだ８つの項目がこれ。
①体づくり
②コントロール
③キレ
④スピード160キロ
⑤変化球
⑥人間性
⑦メンタル
⑧運

注目すべきは、ここに〈人間性〉〈メンタル〉〈運〉という項目が書き込まれていること。しかも、それぞれについての項目が、これまた実に素晴らしい。

〈人間性〉……①感性　②愛される人間　③計画性　④思いやり　⑤感謝　⑥礼儀　⑦信頼される人間　⑧継続力

〈メンタル〉……①はっきりとした目標、目的をもつ　②一喜一憂しない　③頭は冷静に、心は熱く　④ピンチに強い　⑤雰囲気に流されない　⑥波をつくらない　⑦勝利への執念　⑧仲間を思いやる心

〈運〉……①あいさつ　②ゴミ拾い　③部屋そうじ　④道具を大切に使う　⑤審判さんへの態度　⑥プラス思考　⑦応援される人間になる　⑧本を読む

弱冠27歳にして、あの素晴らしい立ち居振る舞い。その原点には、高校１年生のときに出会った、この「目標達成シート」があった……。

〝目標なくして計画なし、計画なくして行動なし、行動なくして成果なし〟あのイチロー選手にしても、既に小学６年生にして「僕の夢」と題してこう書いています。

〈僕の夢は一流のプロ野球選手になることです。……僕は三才の時から練習を始めています。……三年生の時から今までは365日中360日は激しい練習をやっています。……そんなに練習をやっているのだから、必ずプロ野球選手になると思います〉

すべからく「夢」「目標」を掲げて前進すべし。新装新版『真理』第１巻「入門篇」もこう切言(せつげん)しています。

《高き目標をかかげて第一歩を着実に歩むならば、一種の眼に見えない神々(こうごう)しい雰囲気がその人につきまとうて、人を引きつける魅力となるのであります》（285～286頁）

月刊『谷口雅春先生を学ぶ』令和3年10月号より