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コラム

「霊々妙々(れいれいみょうみょう) 夫婦の縁(えにし) 一霊同魂なり」の精神を取り戻そう

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宗教法人「生長の家創始者谷口雅春先生を学ぶ会」
副代表 前原幸博

日本と西洋との違いを将棋とチェスで喩(たと)える話があります。チェスにはクイーンがあるが、日本にはそれに当たる駒(こま)がない……。

日本では戦(いくさ)場(ば)に女性は登場させないのだと言っても、男女同権の今日の世相の前にはどうも形(かた)無(な)しのようで……。

また、将棋では敵の駒を取れば自分の持ち駒として生かすことができるが、チェスにはそれがない……。

なるほど、これは敵方にすれば〝裏切り〟とも言えるわけで、見方次第では、長所も短所となるという、これは一つの見本のような気がします。

今、政治問題化している夫婦別姓にもそれが当てはまる――。本来、夫婦同姓とは日本の良き文化・伝統であったのに、それを短所と見る人が出てきたことがそもそもの原因だと思うからです。

将棋の故・内藤國雄九段がこういうエッセイを書いています。
〈チェスにおいては、ゲームが終われば王も歩(ふ)も一つの箱に入れるが、敵と味方は別々の箱にしまう。仮に一つの箱に入れても、間に間仕切りを入れて分けるようにする。大体が色分けによって敵味方が分かれており、これは永久にそうであり、一つになるということは考えられない。ひとり日本の将棋だけが、ゲームが終わると王も歩も、敵も味方も一つの箱におさまってしまう。人生は一局の将棋なりという、その人生のゲームも終われば……〉

死後は同じ墓に入るという「偕老同穴(かいろうどうけつ)」は、夫婦別姓論がこれほど蔓延(はびこ)っては、文字通り〝死語〟と化すでしょう。その論を聞いて思い出したのが「ゲシュタルト崩壊」の話です。ゲシュタルト(Gestalt)とは「全体を部分の寄せ集めではなく、ひとまとまりとしてとらえる」という意味のドイツ語です。たとえば、漢字はいろんな部分の集まりでできていますが、それが全体でまとまってはじめて意味を持ちます。「ゲシュタルト崩壊」とは、その全体のまとまりが分からなくなって、バラバラの部分しか意識できなくなってしまう……。「○○公園」という立て看板を見て「○○ハム園」と読むというようなことです。

夫婦一体でこそ意味をもつのにそれをバラバラにして果たしていいのか……。
尊師・谷口雅春先生はこうお説きくださっています。
《夫婦、陰陽(いんよう)、天と地、周囲と中心は本来一体であり、本来一体であるものが陰陽にわかれて各々のわけ前を受持(うけも)つ事によって生命が産み出され、家庭が調和し、子供が生長するのであります。どちらも持ちつ持たれつであります。…中心は周辺を拝み、周辺は中心を拝むことによって天地自然の法則に叶い、家庭は調和し、国家は興隆(こうりゅう)するのであります》(『光の泉』誌・昭和38年新年号)

「夫婦別性」とは「親子別性」に他なりません。子供たちが、どちらの姓を名乗るか、それで揉(も)めてどうするのですか。夫婦を、親子をバラバラにし「家」をなし崩しに壊していって最終的には「国家」という「家」をも解体しようというのが、「夫婦別姓」の背景に蠢(うごめ)いている思惑ではないでしょうか。夫婦別姓とは、「ゲシュタルト崩壊」ならぬ「国家崩壊」への序章に他ならない……。大変、危惧しております。

月刊『谷口雅春先生を学ぶ』令和3年5月号より
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